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公認会計士が格付け:新NISAの証券口座7社 2026年版
新NISAで使うネット証券7社を、手数料・クレカ積立の還元率・投信保有ポイント・商品数・使いやすさの5項目でS〜Dに格付けしました。2026年10月時点の公式情報をもとに、公認会計士の視点で「手数料ゼロの本当のコスト」も整理します。

結論から言うと、2026年10月時点で「誰にでも勧めやすい」と言えるのはSBI証券と楽天証券の2社で、マネックス証券・松井証券・三菱UFJ eスマート証券は「多くの人に合う」A評価です。PayPay証券はスマホで完結する手軽さが魅力ですが株式の実質コストが高めでB、moomoo証券は米国株に強い一方でクレカ積立や投信保有ポイントの記載が公式サイトになく、2026年6〜9月には関東財務局から新規口座開設の停止命令も受けていたため、条件が合う人だけのCとしました。手数料そのものは大手5社でほぼ横並びで、差がつくのはクレカ積立の還元率、投信保有ポイント、銀行との連携です。
この記事では、各社の公式サイトで確認できた2026年10月時点の数字だけを使い、確認できなかった項目は「要確認」と明記しています。クレカ積立の還元率は年間のカード利用額や口座区分などの条件で大きく変わるため、「最大〇%」という宣伝文句ではなく、年会費無料カードで無理なく受け取れる率を軸に見ています。特定の投資信託や株式を勧めるものではなく、口座の機能とコストの比較に限った内容です。
新NISAの口座は「クレカ積立の還元」と「投信保有ポイント」で年に数千円〜数万円の差が出ます。迷ったらSBI証券か楽天証券で損はしません。
得する人・向いている人
- 三井住友カードや楽天カードをすでに持っている人(SBI証券/楽天証券)
- dカード GOLDを持っている人(マネックス証券:一律1.1%)
- 月10万円まで積み立てる人(クレカ積立の上限を使い切れる)
- 投信を長く持つ人(保有ポイントが毎年つく)
損しやすい人・向かない人
- ポイント目当てに複数の証券口座を開く人(NISA口座は1人1つ)
- 口座の機能より「どの投信を買うか」を先に考えてしまう人
- 米国株の為替手数料や売却時の現地手数料を見ていない人
- 行政処分の履歴(moomoo証券)を確認せずに口座を選ぶ人
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
- 松井証券
- 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)
- PayPay証券
- moomoo証券
2026年10月25日時点の各社公式サイトの情報で評価。くわしい理由は下の表と各項目の説明へ。

先輩、ネットの比較記事ってどれも同じカードを勧めていて、何を信じればいいのか分かりません…

だから今回は、公認会計士の目で「数字」だけを見て格付けした。年会費・手数料・還元率・条件を、会社の決算書を読むときと同じ目で見ていく。広告報酬は格付けに一切反映していないよ。
基準日:この記事の数字は2026年10月25日時点の各社公式サイトの情報です。条件は変わることがあるため、申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください。
格付け表(S〜Dの5段階)
自分の数字で試算してみる
表の数字は目安です。自分の利用額や預金額を入れると、年にいくら違うかがその場で分かります。
クレカ積立のポイントは10年でいくら?
数字を動かすと、その場で結果が変わります(税引前・ポイントは1pt=1円として計算)。
あくまで目安です。実際の付与率・条件は各社の公式サイトでご確認ください。
各項目の詳しい評価
SBI証券(格付け S:最高評価)
商品の幅、手数料、ポイントのいずれも業界上位で、「どれか1社」と聞かれたときに外しにくい口座です。三井住友カード(NL)やOliveを日常でも使う人、米国株やETFまで視野に入れる人に向きます。銀行連携はドコモSMTBネット銀行(旧住信SBIネット銀行)の「SBIハイブリッド預金」で、金利は年0.51%(2026年10月1日改定)。画面が多機能な分、初めての人は「NISAで投信を積み立てるだけ」と目的を絞ってから使うと迷いにくいです。
- 手数料:国内株は「ゼロ革命」で現物・信用・単元未満株(S株)が0円(インターネットコースかつ各種報告書の電子交付設定が条件)。投信は買付手数料無料。NISA口座の米国株・海外ETFも売買手数料無料(2026年4月17日更新の公式ページ)
- クレカ積立:三井住友カード(NL)0.5%(年間カード利用10万円以上、未満は0%)、ゴールド(NL)1.0%(年100万円以上。10万円以上は0.75%、未満は0%)、プラチナプリファード1.0〜3.0%(年300万円・500万円で段階)。月10万円まで(公式FAQ、2024年11月買付分以降の付与率)。Visa Infiniteは4%、Olive資産運用サービス等の条件達成で最大2%上乗せ(2026年5月26日時点の公式LP)
- 投信保有ポイント:投信マイレージ。通常銘柄は年0.1%または0.15%(月間平均保有1,000万円以上で0.2〜0.25%)。低コストインデックスは個別率で、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)0.0175%、同S&P500 0.028%(2026年10月19日時点)
- 良い点:手数料・商品数・ポイントの三拍子。投信2,600本超(2025年12月時点)、米国株5,000銘柄超
- 気になる点:0.5%還元でも年間10万円のカード利用が必要。サイトやアプリが多く迷いやすい
楽天証券(格付け S:最高評価)
楽天カード・楽天銀行・楽天市場を使っている人なら、ポイントと入出金の動線がそろっていて管理が楽です。楽天銀行の「マネーブリッジ」を設定すると普通預金が年0.48%(残高1,000万円以下の部分、2026年10月1日時点)の優遇金利になり、自動入出金も使えます。保有ポイントの対象が自社系列の投信に限られる点は割り切りが必要ですが、積立の使い勝手と画面の分かりやすさで初心者にも勧めやすい口座です。
- 手数料:国内株は「ゼロコース」で現物・信用・かぶミニ(単元未満株)が0円(SORの利用同意が条件、達成条件なし)。投信は買付手数料無料。NISA口座では米国株・海外ETF(中国・シンガポールETF)の売買手数料も無料(公式NISA手数料ページ。電話取次ぎは対象外)
- クレカ積立:楽天カード0.5%(代行手数料が年0.4%以上の投信は1%)、楽天ゴールドカード0.75%(同1%)、楽天プレミアムカード1%、楽天ブラックカード2%(2027年1月買付分から前年の年間利用400万円以上で3.2%)。月10万円まで。別枠で楽天キャッシュ(楽天ペイ残高)積立が月5万円まで0.5%で、併用すると月15万円まで(公式ページ、2026年9月28日付お知らせ)
- 投信保有ポイント:投信残高ポイントプログラムの対象は楽天・プラスシリーズ6本のみ。年率はオールカントリー0.017%、S&P500 0.028%、日経225 0.053%など。それ以外の投信には保有ポイントなし
- 良い点:条件なしで国内株0円。カード+楽天キャッシュで月15万円まで還元対象
- 気になる点:保有ポイントは自社系6本のみ。低コスト投信のカード還元は0.5%
マネックス証券(格付け A:おすすめ)
ドコモグループになったことでdポイントの貯まる・使える動線が整い、ドコモ利用者には合理的な選択です。ただし「1.1%」を月10万円まで一律で受け取れるのはdカード GOLD(年会費11,000円)で、年会費無料のdカードは5万円を超える部分の率が下がります。公式に「2026年12月以降の見直し」も予告されているため、この記事の数字は変わる前提で、口座開設前に最新の条件を確認してください。
- 手数料:NISA口座は日本株・米国株・中国株の国内取引手数料が0円(米国株は売却時に現地手数料あり)、投信は全銘柄ノーロード。課税口座の国内株は取引毎手数料コースで5万円以下55円から(2026年10月時点の公式NISA手数料ページ)
- クレカ積立:dカード GOLD・GOLD UはNISA口座で月10万円まで一律1.1%。年会費無料のdカードはNISA口座でも段階制で、5万円以下の部分が1.1%、5万円超〜7万円は0.6%と下がる(公式サービス概要の例示)。dカード PLATINUMはNISA口座で一律3.1%(入会1年目。2年目以降は月のショッピング利用額で変動し、2026年12月決済分からは入会3か月後以降に前倒し)。JCBカード最大1.0%、マネックスカード最大1.1%。月10万円まで。dカードは「2026年12月以降、各種ポイント還元率・進呈条件と年会費の見直しを予定」との公式記載あり
- 投信保有ポイント:投信保有ポイント(2026年10月1日時点)。通常銘柄は年0.08%、ポイントアップ対象は0.16%・0.26%、当社指定銘柄0.03%。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)0.0175%、同S&P500 0.0254%の個別率
- 良い点:dカード GOLDならNISAで一律1.1%。NISAは株・投信の手数料0円
- 気になる点:無料dカードは月5万円超の部分で還元率が下がる。dカードの条件は2026年12月以降見直し予定。投信本数は1,300本超と中位
松井証券(格付け A:おすすめ)
アクティブファンドなど信託報酬が高めの投信を長く持つ人ほど保有ポイントの恩恵が大きく、他社から投信を移管しても対象になるのが特徴です。MATSUI Bank(所属銀行はドコモSMTBネット銀行)との連携で、買付資金の自動入金と高めの普通預金金利を同時に使えます。クレカ積立の条件が他社よりやや厳しいため、JCBカードを日常で使っていない人は還元を期待しすぎないほうが無難です。
- 手数料:国内株は1日の約定代金合計50万円以下なら0円(50万円超は100万円まで1,100円など段階制。25歳以下は無料)。NISA口座の日本株・米国株は売買手数料無料。投信は購入時手数料無料。課税口座の米国株は約定代金の0.495%(上限22米ドル)
- クレカ積立:JCBオリジナルシリーズのみ。JCBゴールドなどプレミアムカードは最大1.0%、JCB カード Wなど一般カードは最大0.5%。ただし「クレカ積立以外の月間ショッピング利用5万円以上」が条件で、一般カードで5万円未満の月は付与なし(プレミアムは最大0.5%)。月100円〜10万円(公式FAQ)。付与はJ-POINT(松井証券ポイントへは1P→0.7Pで交換)
- 投信保有ポイント:最大1%貯まる投信残高ポイントサービス。MMF・ETF・REIT等を除く1,991本が対象(2026年10月時点の公式ページ)。eMAXIS Slim 全世界株式0.0175%、同S&P500 0.028%、同国内株式(TOPIX)0.055%(2026年10月1日現在)。毎月のエントリーが必要
- 良い点:保有ポイントの対象が広い。MATSUI Bankの普通預金が年0.85%(2026年10月1日現在)
- 気になる点:クレカ積立は月5万円以上のカード利用が前提。毎月エントリーしないと付与されない
三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)(格付け A:おすすめ)
三菱UFJ銀行をメインバンクにしている人、またはauの料金プランとau PAY ゴールドカードを使っている人に合う口座です。「マネーコネクト」で銀行口座から自動入金でき、auじぶん銀行では連携で普通預金金利の上乗せもあります。最大7%などの表示はカード年間利用700万円以上といった高い条件が前提なので、年会費無料カードなら0.5〜0.55%が基準と考えるのが現実的です。
- 手数料:国内株は現物・信用・プチ株(単元未満株)がSOR注文の選択で0円(名証・福証・札証が主市場の銘柄は対象外)。NISA口座は国内株・プチ株・米国株・投信の取引手数料0円。課税口座の米国株は約定代金の0.495%(上限22米ドル)。投信は購入時手数料無料
- クレカ積立:au PAY カード0.5%、au PAY ゴールドカード1.0%、三菱UFJカード0.55%、同ゴールド・プラチナ1.1%。いずれも月100円〜10万円。auマネ活2加入でau PAYカードは最大1.0%、ゴールドは最大2.0%(上乗せ分は月5万円まで)。三菱UFJカード ゴールド以上は年間利用100万円以上で2.0%、700万円以上で7.0%(要エントリー、2026年6月現在の公式注記)
- 投信保有ポイント:資産形成プログラム(2026年10月1日時点の対象一覧)。通常銘柄は年0.10%(1,000万円以上0.24%)、プレミアム銘柄Aは0.20%(同0.40%)、当社指定銘柄は0.005%一律。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と同S&P500は「プレミアム銘柄B」で、それぞれ0.0175%・0.028%。au IDの登録が必要
- 良い点:三菱UFJ銀行・auじぶん銀行と自動入出金。カード次第で還元が厚い
- 気になる点:高還元は年間利用額や料金プランの条件付き。社名変更で情報が混在
三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券) の公式サイトで最新の条件を見る
PayPay証券(格付け B:ふつう)
PayPayを日常的に使っていて、「まず少額で投信の積立を始めたい」人には入口として分かりやすい口座です。PayPay銀行との自動入出金もあり、売却代金を手続きなしで銀行に戻せます。一方、株式は手数料無料ではなく価格に0.5%が含まれる仕組みで、買って売ると約1%のコストになるため、個別株を頻繁に売買する用途には向きません。
- 手数料:日本株・米国株は取引手数料ではなく「基準価格に0.5%を乗じた価格」で売買(米国株は現地9:30〜16:00以外の時間帯は0.7%)。為替は1米ドルあたり35銭。NISA口座でも同じ仕組み。投信は買付手数料無料。100円から1円単位で購入可
- クレカ積立:PayPayカード・PayPayカード ゴールドで0.7%、進呈上限は月700ポイント(積立設定は月100円〜10万円)。PayPay残高・PayPayポイントでの積立は0.5%。家族カードは対象外
- 投信保有ポイント:保有残高に応じたポイント制度は公式サイト(手数料ページ・FAQ)に記載なし(2026年10月25日確認)
- 良い点:PayPayアプリ内で完結し、PayPayマネーでそのまま投資できる手軽さ
- 気になる点:株式は売買のたびに0.5%の価格差。投信本数は「厳選」で本数非公表
moomoo証券(格付け C:条件つき)
米国の個別株やETFを自分で選んで売買する人にとっては、銘柄数とコスト、情報ツールの面で有力です。ただし新NISAで投信を毎月積み立てる使い方では、クレカ積立も保有ポイントもなく、他社との差を埋める材料がありません。加えて2026年6月、NISA対象外の米国ETF等を「NISA対象商品」と表示して販売したことなどを理由に、関東財務局から3か月の新規口座開設停止と業務改善命令を受けています(新規受付は9月24日に再開)。「成長投資枠で米国株」という目的が明確で、この経緯を踏まえても使いたい人だけが選ぶ口座と位置づけました。
- 手数料:日本株は課税口座でも取引手数料・システム利用料が無料。米国株はベーシックコースで約定金額の0.132%(上限22米ドル)、NISA口座では日本株・米国株・投信の手数料が無料。投信は購入時手数料無料。リアルタイム為替の手数料は現時点で無料(「今後有料となる可能性」と明記)
- クレカ積立:クレカ積立の記載は公式の新NISA・投資信託ページになし(2026年10月25日確認)
- 投信保有ポイント:投信保有ポイントの記載は公式サイトになし(2026年10月25日確認)
- 良い点:米国株の24時間取引対応銘柄数は最多(2026年8月10日時点、公式比較)。分析ツールが高機能
- 気になる点:クレカ積立・保有ポイントの記載なし。投信本数は非公表。2026年6月19日〜9月18日は関東財務局の命令で新規口座開設を停止(9月24日再開)
格付けの基準と見方
格付けは、①取引手数料、②クレカ積立の還元率と月の上限、③投信保有ポイント、④投信本数と外国株、⑤アプリと銀行連携の5項目で、S(誰にでも勧めやすい)、A(多くの人に合う)、B(使い方次第)、C(条件が合う人だけ)、D(見送り)の5段階です。
数字はすべて2026年10月25日時点で各社の公式サイトから確認できたものです。各社の表示は「2026年5月26日時点」「2026年10月1日現在」など基準日がばらついているため、本文中にも時点を添えています。クレカ積立の還元率は「年会費無料のカードで、特別な条件なしに受け取れる率」を軸に評価し、年会費のかかるカードは年会費を差し引いた実質で考えています。
- S:SBI証券、楽天証券
- A:マネックス証券、松井証券、三菱UFJ eスマート証券
- B:PayPay証券
- C:moomoo証券
新NISAの枠と「口座は1人1社」のルール
新NISAには、積立専用の「つみたて投資枠」(年120万円)と、投信や株式を幅広く買える「成長投資枠」(年240万円)があり、合わせて年360万円、生涯で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)まで非課税で運用できます(金融庁NISA特設サイト)。つみたて投資枠の年120万円を12か月で割ると月10万円で、各社のクレカ積立の上限が「月10万円」にそろっているのはこの数字に合わせたものです。
NISA口座は1人につき1つの金融機関でしか開けません。年単位で金融機関を変更できますが、その年にすでにNISA口座で買付をしていると、その年の変更はできず翌年分からの扱いになります。マネックス証券の案内では、2027年分の金融機関変更の受付は2026年10月1日から始まっています。つまり、いまから変更を考える人は「2027年分」として手続きすることになります。
金融機関を変えても、以前の口座で買った投信や株式はそのまま旧口座に残り、非課税のままです。ただし、旧口座では新しい買付ができず、残高の管理が2社に分かれる手間が生じます。
クレカ積立の還元は年にいくらか(試算)
前提を置いて試算します。つみたて投資枠の上限いっぱい、月10万円を年12回、年会費無料のカードで積み立てたケースです。還元率0.5%(SBI証券の三井住友カード(NL)、楽天証券の楽天カード、eスマート証券のau PAY カードなど)なら年6,000ポイント、0.7%(PayPay証券のPayPayカード。上限の月700ポイントにちょうど届く)なら年8,400ポイントです。マネックス証券の無料dカードは、NISA口座でも5万円以下の部分が1.1%、5万円超〜7万円が0.6%と段階的に下がるため、月10万円でも年13,200ポイント(10万円全額に1.1%)には届きません。
ゴールドカードに切り替えると還元は上がりますが、年会費が差し引かれます。たとえば三井住友カード ゴールド(NL)は1.0%で年12,000ポイントですが、年会費5,500円は年間100万円のカード利用(クレカ積立分は含まれません)で翌年以降無料になる条件付きです。dカード GOLD(年会費11,000円)はNISA口座で月10万円まで一律1.1%ですが、無料dカードとの差は月数百ポイントにとどまるため、積立の還元だけで年会費を回収するのは難しい計算です。
もう一つ見落としやすいのが「カード利用額の条件」です。SBI証券では三井住友カード(NL)でも年間のカード利用が10万円未満だと還元は0%になり、松井証券のJCB一般カードは積立以外の月間利用が5万円未満だと付与されません。還元率の表だけでなく、自分の日常のカード利用額で条件を満たせるかを先に確認してください。
保有ポイントも試算しておきます。残高500万円の低コストの全世界株式インデックスなら、年率0.0175%で年875円相当。信託報酬が高めのアクティブファンドが通常銘柄扱いで年0.1%なら5,000円相当です。低コスト投信では口座選びの決め手になるほどの差は出にくいというのが実感です。
会計士が見る「手数料ゼロ」の本当のコスト
2026年10月時点で、SBI証券・楽天証券・eスマート証券は国内株の売買手数料が原則0円、松井証券は1日50万円まで0円、マネックス証券もNISA口座では0円です。ただ、「手数料ゼロ」は証券会社に払う売買手数料がゼロという意味で、投資にかかるコストがゼロになったわけではなく、見えないところに費用が移っているケースが少なくありません。
一つは投信の信託報酬です。これは買付手数料と違い、持っている間ずっと残高から日割りで差し引かれる費用で、どの証券会社で買っても同じ率です。証券会社がくれる保有ポイントは、この信託報酬の中から販売会社に入る取り分の一部を戻しているもので、低コストの投信ほど戻せる原資が小さくなります。各社の保有ポイントが全世界株式で0.0175%前後にそろうのは、原資がほぼ同じだからです。
二つ目はスプレッド(価格差)と為替です。PayPay証券の株式は手数料の代わりに価格に0.5%が含まれ、買って売れば約1%のコストになります。米国株では別途、円とドルの交換に為替手数料がかかります。PayPay証券は1米ドルあたり35銭で、1ドル150円なら片道約0.23%に相当します。水準は社によって異なり、moomoo証券の為替は現時点で無料ですが、公式サイトに「今後有料となる可能性」が明記されています。
三つ目はポイントの税務です。松井証券の公式ページにもあるように、投信の保有や積立で受け取るポイントは一時所得や雑所得として課税対象になる場合があります。給与所得者であれば、他の雑所得等と合わせて年20万円以下なら確定申告は不要ですが、年会費のかかるカードで大きく貯めている人は把握しておくべき論点です。手数料が見えなくなった分、こうした費用と税務を自分で読み解く力が求められています。
注意点とよくある誤解
もっとも多い誤解は「最大〇%」をそのまま受け取ることです。eスマート証券の7.0%は三菱UFJカード ゴールド以上で年間700万円のカード利用が条件、SBI証券のVisa Infiniteの4%は年会費の高いカードが前提で、楽天ブラックカードの3.2%も2027年1月買付分以降、前年の年間利用400万円以上が条件です。マネックス証券の3.1%もdカード PLATINUM(年会費29,700円)の率です。年会費無料カードの標準的な率は0.5〜1.1%と考えておくと、期待と現実の差が出にくくなります。
次に、条件やルールが頻繁に変わる点です。この記事の確認作業中にも、楽天証券は2026年9月28日に楽天ブラックカードの進呈率変更を公表し、マネックス証券はdカード PLATINUMの進呈条件改定(2026年12月決済分から)とdカード全体の「2026年12月以降の見直し」を予告し、eスマート証券は2026年7月1日に保有ポイントの体系を改定していました。moomoo証券のように行政処分で新規口座開設が止まる例もありました。口座開設の前には必ず公式サイトの最新の条件を見てください。
最後に、ポイントは資産形成の「おまけ」にすぎないという点です。月10万円の積立で年6,000〜13,200ポイントの差は、年間積立額の1%前後で、長期の運用結果を左右するのはどの資産にいくら投資し、どれだけ長く続けるかです。この記事は口座の機能とコストを比べたもので、特定の商品を勧めたり将来の値動きを予想するものではありません。
- 「最大〇%」は年会費や年間利用額の条件を外した数字で読む
- クレカ積立の金額は多くのカードで年間利用額の集計に含まれない
- NISA口座の金融機関変更は年単位。2027年分の受付は2026年10月から
- 保有ポイントは低コスト投信では年0.02〜0.03%程度と小さい
- ポイントは課税対象になる場合がある(一時所得・雑所得)
よくある質問(赤城が聞いてみた)
すでに他社でNISA口座を持っています。乗り換えたほうが得ですか。

すでに他社でNISA口座を持っています。乗り換えたほうが得ですか。

年会費無料カードで比べると、クレカ積立の還元率の差は年0.5〜0.6ポイント程度、月10万円の積立で年6,000〜7,000ポイントほどです。乗り換えると旧口座の残高は非課税のまま残りますが、管理が2社に分かれます。この手間を許容できるか、今の口座の使い勝手に不満があるかで判断するのが現実的で、ポイント差だけで毎年乗り換えるのはお勧めしにくいです。
クレカ積立は月10万円まで設定しないと損ですか。

クレカ積立は月10万円まで設定しないと損ですか。

いいえ。還元は積立額に比例するので、無理のない金額で続けることが先です。SBI証券の三井住友カード(NL)のように「年間カード利用10万円以上」といった条件が付く場合や、マネックス証券の無料dカードのように5万円を超える部分の率が下がる場合があるため、積立額よりも自分の条件で何%になるかを確認してください。PayPay証券は0.7%の還元に月700ポイントの上限があるため、月10万円でちょうど上限になります。
投信保有ポイントは口座選びの決め手になりますか。

投信保有ポイントは口座選びの決め手になりますか。

低コストのインデックス投信では各社とも年0.0175〜0.028%前後にそろっており、残高500万円でも年900〜1,400円程度です。決め手になるのは、信託報酬が高めのアクティブファンドを長く持つ場合で、松井証券やSBI証券のように対象が広い社では年0.1%以上になることがあります。自分が持つ投信の区分を各社の一覧で確認してから判断してください。
ポイントに税金はかかりますか。

ポイントに税金はかかりますか。

松井証券の公式ページにあるとおり、投信の保有や積立で受け取るポイントは一時所得または雑所得として課税対象になる場合があります。給与所得者の場合、給与以外の所得が年20万円以下であれば確定申告は不要とされていますが、医療費控除などで申告する年は合算が必要です。具体的な取扱いは税務署や税理士に確認してください。
出典・参考にした公式情報
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト 新しいNISA
- SBI証券 ゼロ革命(国内株式手数料無料)
- SBI証券 三井住友カードでクレカ積立(2026年5月26日時点)
- SBI証券 クレカ積立 ポイント付与率に関するFAQ
- SBI証券 投信マイレージ 付与率一覧(2026年10月19日時点)
- ドコモSMTBネット銀行 円預金金利改定(SBIハイブリッド預金、2026年10月1日)
- 楽天証券 国内株式手数料ゼロコース
- 楽天証券 NISA 日米株式の取引手数料が無料
- 楽天証券 楽天カードクレジット決済のポイント還元率
- 楽天証券 楽天ブラックカードのポイント進呈率変更(2026年9月28日)
- 楽天証券 楽天ペイ残高で投信積立
- 楽天証券 投信残高ポイントプログラム
- 楽天証券 マネーブリッジ(優遇金利、2026年10月1日時点)
- マネックス証券 NISA 手数料と費用
- マネックス証券 クレカ積立(dカード・JCB・マネックスカード)
- マネックス証券 dカード積立 サービス概要
- マネックス証券 投信保有ポイント(2026年10月1日時点)
- マネックス証券 投信保有ポイントアップ対象銘柄の変更(2026年9月29日)
- dカード カード比較(dカード積立の還元率・2026年12月以降の見直し予定)
- 松井証券 クレカ積立
- 松井証券 FAQ 松井証券のクレカ積立について(積立可能金額100円〜10万円)
- 松井証券 最大1%貯まる投信残高ポイントサービス 特徴
- 松井証券 現物取引 手数料
- 松井証券 新NISA 手数料
- 松井証券 MATSUI Bank
- 三菱UFJ eスマート証券 手数料
- 三菱UFJ eスマート証券 NISAの手数料
- 三菱UFJ eスマート証券 三菱UFJカード決済(投信積立)
- 三菱UFJ eスマート証券 au PAY カード決済による投信積立
- 三菱UFJ eスマート証券 auマネ活2
- 三菱UFJ eスマート証券 資産形成プログラム
- 三菱UFJ eスマート証券 プレミアム銘柄一覧(2026年10月1日時点、PDF)
- 三菱UFJ eスマート証券 マネーコネクト(三菱UFJ銀行/auじぶん銀行)
- PayPay証券 クレジットつみたて
- PayPay証券 取引手数料・その他費用について
- PayPay証券 NISAの特徴
- moomoo証券 手数料
- moomoo証券 新NISA
- moomoo証券 投資信託
- moomoo証券 行政処分に関するお知らせ(2026年6月19日)
- moomoo証券 新規口座開設受付の再開について(2026年9月24日)
- 関東財務局 moomoo証券株式会社に対する行政処分について(2026年6月19日)
- 大和コネクト証券 クレカ積立とは
- 大和コネクト証券 手数料
まとめ:自分は損しない?をもう一度
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
- 松井証券
- 三菱UFJ eスマート証券(旧auカブコム証券)
- PayPay証券
- moomoo証券
条件は変わることがあるため、申し込み前に公式サイトでご確認ください。
新NISAの口座は「クレカ積立の還元」と「投信保有ポイント」で年に数千円〜数万円の差が出ます。迷ったらSBI証券か楽天証券で損はしません。
得する人・向いている人
- 三井住友カードや楽天カードをすでに持っている人(SBI証券/楽天証券)
- dカード GOLDを持っている人(マネックス証券:一律1.1%)
- 月10万円まで積み立てる人(クレカ積立の上限を使い切れる)
- 投信を長く持つ人(保有ポイントが毎年つく)
損しやすい人・向かない人
- ポイント目当てに複数の証券口座を開く人(NISA口座は1人1つ)
- 口座の機能より「どの投信を買うか」を先に考えてしまう人
- 米国株の為替手数料や売却時の現地手数料を見ていない人
- 行政処分の履歴(moomoo証券)を確認せずに口座を選ぶ人
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この記事を書いた人
冴島(公認会計士)。企業の決算書や内部統制を見てきた経験をもとに、家計のお金を「会社の貸借対照表を読むように」見る方法を発信しています。YouTube「公認会計士冴島と『ちょっと残念な』赤城のお金のからくり」を運営。国の統計と各社の公式発表(一次情報)だけを根拠にし、個別の投資・税務の助言はしません。※「冴島」はYouTubeでの活動名です。公認会計士の資格は運営者本人のものです。
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