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金融資産の平均と中央値|真ん中は600万円、3000万円は上位14%

総務省の全国家計構造調査(2024年10月末)で、金融資産の平均は1527.2万円、0円の世帯も含めた中央値は600万円。差が出る理由、3000万円は上位何%かの早見表、奈良が1位の都道府県別ランキングを公認会計士が一次情報で解説します。

公認会計士が執筆・一次情報のみ
金融資産の平均1527万円と、0円の世帯も含めた中央値600万円を比べたグラフ

結論:金融資産の平均1527.2万円は「ふつうの家庭」の数字ではありません。
金融資産ゼロの世帯も含めた真ん中(中央値)は600万円で、3000万円以上あれば上位14.1%に入ります(1人暮らしも含む全世帯・借金を引く前の額)。
ニュースの平均額を見て「うちは少ないのでは」と感じた40〜60代の方に向けて、自分の位置を中央値と早見表で確かめる方法をまとめました。

基準日:総務省の数字は2024年10月末時点(2026年8月28日公表)、日本銀行の数字は2026年6月末時点(2026年9月17日公表)
この記事を書いた人:冴島(公認会計士)。この記事は YouTube 動画の台本をもとに AI で下書きし、著者が事実確認しています。

▶ この記事の元になった動画を YouTube で見る(21分)

動画の見どころ:2:03 平均と中央値/4:09 奈良の謎/16:42 早見表

金融資産の平均と中央値はいくら?(2024年10月末)

総務省の「全国家計構造調査」は、5年に1度、全国の約9万世帯を対象に行う国の基幹統計です(1人暮らしの世帯も含む)。金融資産については、次の3つの数字が出ています。

表1 金融資産の平均と中央値(総世帯・2024年10月末)

数字

金額

何の数字か(定義)

平均

1527.2万円

金融資産を持っていない世帯(0円)も含めた1世帯あたりの平均

中央値(保有世帯)

728万円

金融資産を持っている世帯だけを少ない順に並べたときの真ん中

中央値(0円の世帯も含む)

600万円

0円の世帯も入れて並べたときの真ん中(総務省が参考値として掲載)

出典:総務省「令和6年全国家計構造調査 結果の要約」p.3(図4)

平均1527万円、保有世帯の中央値728万円、0円の世帯も含めた中央値600万円を比べた横棒グラフ

600万円と728万円、どちらが正しい?

どちらも正しく、数えている世帯が違います。ニュースでよく見る728万円は「持っている世帯だけ」の中央値。平均の1527.2万円は0円の世帯も入れて計算しているので、平均と並べるなら、基準をそろえて600万円を使うのが筋です。

平均も「うそ」ではありません。家計全体でどれだけ持っているかを知るなら平均、ふつうの家庭の姿を知るなら中央値と、目的で使い分けます。

なぜ平均は中央値の2.5倍にもなるのか

平均は大きい数字に引っ張られます。金融資産を持っている世帯を、少ない順に5つのグループ(五分位)に分けるとよく分かります。

表2 金融資産保有世帯の五分位別 平均と有価証券の割合(2024年10月末)

グループ

金融資産の平均

うち有価証券の割合

第Ⅰ(一番少ない2割)

67.6万円

5.0%

第Ⅱ

314.0万円

7.0%

第Ⅲ(真ん中の2割)

745.8万円

9.7%

第Ⅳ

1620.4万円

13.2%

第Ⅴ(一番多い2割)

5640.6万円

28.3%

出典:総務省「令和6年全国家計構造調査 結果の概要」図I-8・図I-9(金融資産を持っていない世帯は含まない)

金融資産を持つ世帯の一番下の2割(平均68万円)と一番上の2割(平均5641万円)を比べた横棒グラフ

一番上と一番下の差は約83倍。各グループは世帯数が同じなので、平均の合計(8388.4万円)に占める一番上の割合を出すと約67%です。持っている世帯の上の2割が、全体の3分の2を持っています。

家や土地、借金まで含めた純資産でも、中央値1622万円に対して平均3156.5万円と、中央値は平均のほぼ半分です(同「結果の概要」)。平均と比べて落ち込む必要はありません。ただし年代も家族の形も混ぜた数字なので、「600万円あれば安心」という話でもありません。

金融資産3000万円は上位何%?早見表

この調査の金融資産は、同じ家計で暮らす家族の分を合わせた世帯の合計です(夫婦なら2人分)。

  • 入るもの:預貯金、株式、投資信託、国債などの債券、貯蓄型の保険(払い込んだ保険料の総額で数える)
  • 入らないもの:家や土地、掛け捨ての保険、家に置いてある現金

表3 金融資産の早見表(総世帯・2024年10月末・借金は引かない)

金融資産

その額以上の世帯(上位◯%)

足し上げた階級(世帯の割合)

ひとこと

7500万円以上

3.3%

7500万円以上 3.3

30世帯に1世帯

5000万円以上

6.9%

+5000〜7500万円 3.6

約14世帯に1世帯

4000万円以上

9.5%

+4000〜5000万円 2.6

1割弱

3000万円以上

14.1%

+3000〜4000万円 4.6

約7世帯に1世帯

2000万円以上

22.5%

+2000〜3000万円 8.4

2割強

1500万円以上

28.7%

+1500〜2000万円 6.2

平均を超えるのは3割未満

1200万円以上

33.5%

+1200〜1500万円 4.8

ほぼ3分の1

900万円以上

41.1%

+900〜1200万円 7.6

750万円以上

45.2%

+750〜900万円 4.1

600万円以上

50.6%

+600〜750万円 5.4

上半分

450万円以上

57.0%

+450〜600万円 6.4

300万円以上

65.2%

+300〜450万円 8.2

150万円以上

74.3%

+150〜300万円 9.1

150万円未満

(下から)25.7%

150万円未満 25.7

4世帯に1世帯

出典:総務省「令和6年全国家計構造調査 結果の要約」p.3 図4の階級別の世帯割合を、上の階級から足し上げて作成(「〜」は以上〜未満)。各階級は小数1桁に丸めた値のため、0.1ポイント程度の誤差があり得ます。

金融資産の早見表。600万円以上で上半分、3000万円以上で上位14.1%などを示す横棒グラフ

(グラフは動画用に丸めた値です。正確な値は表3をご覧ください)

動画で後輩の赤城は、3000万円を「平均の倍くらいだから、上位3割くらいですか」と予想しましたが、正解は上位14.1%、約7世帯に1世帯です。平均の1527.2万円を超える世帯は3割に届かず、7割以上の世帯は平均を下回ります。

早見表を見るときの注意3つ

  1. 年代も世帯の形も混ぜた表:20代から80代まで、1人暮らしも家族も全部入っています。若い世帯が上位にいなくても不思議ではありません
  2. 借金を引いていない:預金1200万円・住宅ローン3000万円の家も「上位3分の1」に入ります
  3. 2024年10月末の表:その後、株や投資信託の評価額は動いています。今の残高を当てはめても今の正確な順位にはならず、あくまで目安です

都道府県別の金融資産、1位はなぜ奈良?

都道府県別(総世帯の平均)で金融資産が一番多いのは、東京ではなく奈良です。

表4 都道府県別 金融資産(上位5・下位3)と年間収入の順位(総世帯)

金融資産の順位

都道府県

金融資産(2024年10月末)

年間収入の順位

年間収入

1位

奈良県

1994.2万円

20位

590.2万円

2位

東京都

1865.2万円

1位

681.8万円

3位

愛知県

1833.9万円

3位

649.1万円

4位

神奈川県

1829.8万円

2位

649.5万円

5位

富山県

1776.0万円

4位

642.2万円

45位

秋田県

930.6万円

38位

526.9万円

46位

青森県

829.6万円

46位

484.1万円

47位

沖縄県

621.7万円

47位

458.1万円

―

全国

1527.2万円

―

593.7万円

出典:総務省「令和6年全国家計構造調査 結果の要約」p.8 表3・p.9 表4。金融資産は0円の世帯も含む平均。年間収入は2023年11月〜2024年10月の税込収入

都道府県別の金融資産。1位奈良1994万円、2位東京1865万円、最下位沖縄622万円と、全国平均1527万円の線

上位5県のうち、奈良以外の4県は年間収入でも1〜4位。奈良だけが「稼ぐ県」の顔ぶれから外れています。

今回だけ上位に来た県ではない

標本調査なので、1位か2位かのような僅差の順位は入れ替わることもあります。ただ奈良は、5年前(2019年)も2位(1位は神奈川)。前身の全国消費実態調査を含めると、2004年から5回続けて6位以内です(2014年までは二人以上の世帯の貯蓄現在高で、集計の範囲は途中で変わっています)。

手がかりは「世帯の形」

  • ベッドタウン・高齢化:奈良は県外で働く人の割合が全国3位(2020年国勢調査。2位の千葉とはごくわずかな差)ですが、1位の埼玉は金融資産10位。65歳以上の割合が一番高い秋田は45位です
  • 世帯の形:二人以上の世帯だけで並べると、1位は東京(2325.8万円)で奈良は4位。1人暮らしを入れると、東京の平均は約460.6万円下がり(47都道府県で最大)、奈良は約80.2万円しか下がりません。東京は一般世帯の50.2%が1人暮らしです(2020年国勢調査)

それでも奈良は、金融資産から借金を引いた純金融資産では、総世帯でも二人以上の世帯でも1位。有価証券の額も総世帯では東京に次ぐ2位です。要因の大きさまではこの調査で分かりませんが、「稼ぐ県」より「持っている県」と言えます。

5年前より県の差は開いた?

金融資産の1位÷最下位は、2019年の約2.7倍から2024年は約3.2倍に。年間収入はどちらも約1.5倍です。ただし、両端の2県だけを比べた粗い物差しです。1位の県の金額は約24%増(2019年の神奈川と2024年の奈良の比較で、県は入れ替わっています)、全国平均は約19%増で、大きくは変わりません。一方、沖縄は約3%しか増えていません。上が伸びたというより、下が増えなかった形です。

5年の金融資産の増え方。1位の県は約24%増、全国平均は約19%増、沖縄は約3%増

純資産で見ると1位は東京――会計士が見る「資産−負債」

会社の貸借対照表と同じで、資産を見たら必ず負債も見ます。純資産は「金融資産+住宅・宅地の評価額−負債」。都道府県別では東京が5410.0万円で1位、最も少ない秋田は1451.1万円で、約3.7倍の差です(「結果の要約」p.10 表5)。

純資産の比較。1位の東京は約5410万円、最下位の秋田は約1451万円で約3.7倍の差

背景は住宅と土地です。東京の住宅・宅地資産は平均4089.6万円で、全国平均2103.5万円の約1.9倍。京都も年間収入39位・金融資産29位ながら、住宅・宅地資産4位で純資産は5位に入ります。

評価額は現金ではない

宅地は敷地面積などから、住宅は延べ床面積や建築時期に応じた残価率(建物の古さに応じて価値を割り引く率)などから推計した評価額で、実際に売れた値段ではありません。住んでいる家は売らなければお金にならず、住宅ローンが残っていることもあります。また、県のランキングはどれも平均値で、東京の5410.0万円も真ん中の世帯の姿とは限りません。

5年で増えた247.5万円は誰に届いたのか

金融資産の平均は、2019年からの5年で247.5万円(19.3%)増えました。

表5 金融資産の内訳と5年の増減(総世帯・1世帯あたり)

内訳

2019年10月末

2024年10月末

増減

増えた額に占める割合

預貯金

814.2万円

918.8万円

+104.6万円

約42%

生命保険など

243.0万円

244.1万円

+1.1万円

約0.4%

有価証券(株式・投資信託・債券など)

204.5万円

347.8万円

+143.3万円

約58%

その他

18.1万円

16.5万円

−1.6万円

約−0.6%

合計

1279.7万円

1527.2万円

+247.5万円

100%

出典:総務省「令和6年全国家計構造調査 結果の要約」p.3 図3(内訳の増減の合計は四捨五入の関係で247.4万円)

5年で増えた約250万円の中身。有価証券が約143万円増、預貯金が約105万円増

会計士の視点:残高の増加=値上がり+新しく買った分

増えた分の半分以上は有価証券ですが、預貯金も104.6万円増えているので「預金から乗り換えた」とは言えません。また、この調査は株や投資信託を2024年10月末の時価で数えるため、残高の増加には新しく買った分と値上がり分(評価益)の両方が入り、両者は分けられません。

値上がりの分は、持っていた人にしか入りません。表2の平均×有価証券の割合で計算すると、5つのグループが持つ有価証券の約84%を一番上のグループが持っています。誰の残高がいくら増えたかを直接追った数字ではありませんが、今の持ち方から見るかぎり、増えた分は資産の多い世帯に偏りやすい構造です。

その後の1年は?株式等+47%、預金+0.5%(日銀)

総務省の調査より新しい、日本銀行の資金循環統計です。

表6 家計の金融資産(2026年6月末・前年比)

項目

残高

前年比

株式等

486兆円

+47.0%

投資信託

193兆円

+36.8%

現金・預金

1,132兆円

+0.5%

家計の金融資産の合計

2,519兆円

+11.0%

出典:日本銀行「2026年第2四半期の資金循環(速報)参考図表」(2026年9月17日)図表3-1

2026年6月末までの1年で家計の残高がどれだけ増えたか。株式など47%増、投資信託約37%増、現金と預金0.5%増

これも値上がり分と新しく買った分の合計で、日本中の家計を合計した数字です。1軒1軒の資産が47%増えたわけではありません。

「株を買うべき」という話でもありません。預金は額面が減らない代わりに、物価の上がり方に利息が追いつかない間は買えるものが減ります。株や投資信託は額面そのものが減ることもあります。弱点の種類が違うだけで、どう持つかはそれぞれの家計が決めることです。

格差は広がった?ジニ係数で見る偏り

ジニ係数は0〜1の物差しで、0なら全員が同じ、1に近いほど偏りが大きいことを表します(5人で100万円を分けて、1人が独り占めすると0.8)。

表7 ジニ係数(2024年と2019年)

何で測るか

2024年

2019年

手取りの所得(等価可処分所得)

0.286

0.288

金融資産(等価)

0.678

0.664

住宅・宅地資産(等価)

0.622

0.643

出典:所得は「令和6年 結果の要約」p.11。資産は「令和6年 結果の概要」表V-2と「2019年 結果の概要」表I-2を並べて比較

ジニ係数の物差し。手取りの所得は0.286、金融資産は0.678(白い丸は5年前)

金融資産は所得よりずっと偏っていて、5年前よりわずかに上がりました。住宅・宅地は逆にわずかに下がっています。0.678は0.286の約2.4倍ですが、「格差も2.4倍」と読む物差しではありません。また、家族の人数の違いをならした数字で、1世帯あたりの平均とは別の集計です。

よくある質問

Q. 1人暮らしなら、単身世帯の平均(1229.4万円)と比べればいいですか?
A. それも平均なので、上に引っ張られた数字です。早見表は1人暮らしも含めた表なので、目安として使えます。

Q. 住宅ローンが残っていても、早見表の上位に入りますか?
A. 入ります。早見表は借金を引いていない表です。負債も合わせて純資産で見てください。

Q. 株を持っていないと損なのですか?
A. この統計が示すのは、この5年と直近1年、預貯金より有価証券の残高の増え方が大きかったという結果だけです。この先も同じになる保証はなく、預金だけで持っている家計が間違っているわけでもありません。

Q. 数字はこれから変わりますか?
A. 政府統計の窓口(e-Stat)の公表予定では、2026年10月30日(金)14時に、この調査の「年間収入・資産分布等に関する結果」が追加で公表されることになっています。新しい数字が出たら、この記事も見直します。

まとめ:自分の位置を確かめる3つのこと

  1. 平均より中央値:自分の位置は中央値と早見表で見る(600万円以上で上半分、3000万円以上で上位14.1%)
  2. 中身を分ける:預金・有価証券・家と土地・借金に分け、資産を見たら負債も見る
  3. 評価額は現金じゃない:株や土地の評価額は基準日の値段。売って初めて現金になる

何を買え、どこに住め、という話ではありません。統計は誰かを責めるためのものではなく、自分の位置を知るための地図です。

動画で「確かめること3つ」を見る(19:24〜)

著者

冴島(公認会計士)
YouTube「公認会計士冴島と『ちょっと残念な』赤城のお金のからくり」で、国の統計や家計のお金の仕組みを、会計の視点から40〜60代の方向けに解説しています。

基準日と更新予定

  • 総務省「全国家計構造調査」:資産は2024年10月末時点、年間収入は2023年11月〜2024年10月(2026年8月28日公表)
  • 日本銀行「資金循環統計」:2026年6月末時点(2026年9月17日公表)
  • 記事の作成:2026年10月13日。10月30日の総務省の追加公表のあとに見直します

出典

免責

この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の投資助言や税務相談ではありません。特定の金融商品の売買をおすすめするものでもありません。最終的な判断はご自身で行い、必要に応じて専門家にご相談ください。統計の数字は公表時点のもので、今後見直されることがあります。

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